(1)病気について
COPDは、慢性閉塞性肺疾患であり、以前より慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気です。タバコの煙を主とする有害物質を長期に吸入することで生じた肺の炎症疾患です。通常は、徐々に進行してきき、症状としては、動いた時に生じる呼吸困難や、慢性の咳、痰が特徴的です。
(2)全身合併症について
長い間のタバコ煙を原因として、中高年に発症するため、合併症が多く見られます。
- 全身性炎症
- 栄養障害
- 骨格筋機能障害
- 心・血管疾患(心筋梗塞、狭心症、脳血管障害)
- 骨粗鬆症
- 抑うつ
- 糖尿病
- 睡眠障害
などが知られており、これらが合併すると、生活の質が低下します。
また、肺自体にも、喘息や間質性肺炎、気胸、肺癌といったものも合併することがあります。
(3)診断について
やはり重要なのは、長期の喫煙歴のある方が、慢性に咳、痰、呼吸困難を示した場合疑います。
疑ったあと、呼吸機能検査を行い、COPDと診断します。
しかし、似たような症状を及ぼす病気もあるので、X線やCTなどを通して、他の病気と見分けていきます。
最近では、気管支喘息との合併(ACO)も話題となっています。
(4)治療について
何をおいても、禁煙することが大切です。また、COPDの急性増悪といって、急に悪化することもあります。その原因となるのが、感染症ですので、その対策として、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が勧められます。
薬の治療としては、様々な種類の吸入薬から症状や病気のステージを考えて気管支拡張薬を選びます。またより重症の場合、吸入ステロイドを使用することもあります。
薬を使わない治療としては、呼吸リハビリテーションがあります。呼吸が苦しいからといって座ったばかりの生活をしていると、どんどんと体力が失われてしまいます。ですので、できるだけ動く(散歩するなど)ことが必要となります。
また、呼吸をすることにエネルギーを取られますので、十分な栄養を補給しないとなりません。
より重症になると、肺から酸素を十分に供給ができなくなってしまいますので、在宅酸素療法などが適宜利用されます。