病院長ご挨拶

病院長ご挨拶

      

この度、院長の任を拝命いたしました梅川淳一と申します。今まで28年間にわたり脳神経外科専門医として、急性期の診療・手術にあたってきました。3年前に、この関東病院に赴任してからは亜急性期、慢性期の患者様を診させていただくことになり、自分自身の医療に関するあり方や、人が生まれて、生きて、亡くなるということについて改めて考える機会を得ました。

当院に入院される患者様の半分以上の方は、自分で身動きが取れなかったり、お口から食事を取れない患者様です。自分が同じ立場であったなら、どんなに歯がゆく辛いだろうと慮ることが多々あります。

我が関東病院のスタッフ(看護師、リハビリ、介護士)達が、「せめて身体を奇麗にして気持ちよくしてさしあげたい」、「さみしくないようにできるだけ声をかけよう」と色々と尽くしてくれている姿を見ると、私も「目を開けてくれなくとも、できるだけ笑顔で話しかけ手に触れよう、お話しができる患者様とは、なるべくたくさんお話しよう」とやる気が出ます。

そして、それに応えるように笑顔を見せて下さったり、「あなたの事が好きだ」などと言われたりして、我々は嬉しくなったり、癒すはずが逆に癒されてしまっています。もちろん、リハビリ目的で入院していらっしゃる患者さんには、安心して自宅に帰れるくらいまでしっかりとリハビリや在宅準備をしていますし、点滴で転院してきた患者様がご自分でお口から食べれるようになることもあり、我々のやりがいに繋がっています。

現在の日本の医療は国外から診察に来るくらい、若い人々にとっては高度で安心できる医療が確立されていますが、ひとたび回復の可能性の低い高齢の患者様やご家族には選択肢の少ない、説明の足りない冷たい医療社会になっているように思えます。

フランス人の小説家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの代表作である【星の王子様】の中のセリフに「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。“大切”なことは、目に見えないんだよ」というのがあります。

もちろん安全で安心な医療を提供することは当たり前ですが、どんなに医療監査を無事通っていても、病院機能評価を苦労して取得していても、患者様への愛情がなければ、そこは居心地の良い場所とは言えません。この愛情は目には見えませんし、監査もできないものです。私はこういった“大切”な心を、医師や看護師だけでなく当院に勤務するスタッフ全員が、今後も日々持ち続け、実践をしていけるように力を尽くしていきたいと思っています。

平成28年4月1日

関東病院 病院長 梅川 淳一