頭痛について

頭痛について

まず、大切なのはその頭痛が怖い頭痛か、そうでない頭痛かということです。外来に来られる頭痛の患者様のうち8―9割(要するにほとんど)は怖くない頭痛なので以下の症状を参考に自分の頭痛がどれかを見極めてください。
”怖くない頭痛””の代表格はみなさんご存じの片頭痛です。これは、ときどき起きるズキンズキンと脈打つような痛み(場所はこめかみが多いのですが、左右が変わったり、移動したりすることもあります)で、時には吐き気を伴うこともありますが、痛くない時は全然平気で、中には生理や飲酒と関係していたり、頭痛の前にキラキラとした光が見える方もいます。
外来で一番多いのは筋緊張型頭痛です。これは時々感じることもあればしばらく続くこともある、首から後頭部に感じる重痛い感じ、もしくは、ハチマキ状に締めつけられる感じと表現する頭痛です。これはデスクワークをしている人に多くて、たいがいは肩こりに悩んでいる人です。お風呂に入ったりアルコールを飲むと痛みが楽になることも特徴のひとつです。
もう一つに群発性頭痛があります。これはほとんが男性の患者様で、片側の目の奥が激しく痛み、夜や早朝、痛みで目が覚めたり、2週間から2ヶ月ほどの長期にわたりほぼ毎日痛いのが特徴です。頭痛の時に目が充血したり、鼻水が出たりすることもあり、一度治っても1~2年するとまた起きることも特徴です。
最後に後頭神経痛があります。これは、風邪を引いてる途中や治ってから起きたり、または首の骨の変形が原因だったりして、左右どちらかの首の付け根から耳の後ろを通り側頭部へ走るビビッとした痛みとして感じるものです。その痛みは一瞬で走り終わったらもう痛くなくなるのが特徴で、またしばらくするとビビっと痛みを繰り返します。
これら怖くない頭痛にはそれぞれ違う薬が効くということ。同じ薬が長年使用していると効かなくなることもあること。また、最近は漢方薬で頭痛の回数を少なくしたり痛みの程度を軽くすることも可能であることを知っておいて下さい。
一方、”怖い頭痛”の代表は、ご存じのくも膜下出血をはじめとする脳内出血、脳室内出血など出血類です。これらは、出血した時点で、突然に(怖くない頭痛の方はだんだんと強くなる感じですが)、頭痛が始まることが特徴で、しかも基本的にはその痛みは同じような強さで(多少の波はあっても)消えずにずっと続きます。何故なら、出血自体が刺激になっていたり、周囲を圧迫することによる頭痛であるため、その出血が消えてなくならない限りは、痛みは消えることがないからです。逆に言えば、たまに起こる短時間の頭痛は、たとえ繰り返しあったとしても、ほとんど心配のないものであると言えます。
頭部打撲による頭蓋内出血の中で、ちょっと変わった症状の出方をするのが、慢性硬膜下血腫です。あまり覚えていない位の比較的軽い頭部打撲の後、その直後のCTで何も異常なくても、1~2ヶ月後に何となく片側の手足の動きが悪いとか、頭痛が続くようになったとかで外来に来るとCTで液状の血が、脳の表面に貯まっているというものです。ただ、この病気は比較的高齢のお酒のみの男性に多いので、よく「頭をぶつけてから、しばらくしておかしくなる」という言い伝えは、子供や女性にはあまり関係ないとも言えますね。
その他には、脳腫瘍による頭痛がありますが、腫瘍は基本的にゆっくり大きくなっていくものなので、急な頭痛というより、徐々に強さを増してくる、朝方に強い頭痛として毎日続くのが特徴です。
一方、よく皆さんが心配なさる脳梗塞は、実はほとんど頭痛で発症することはないのです!。まれに解離性脳動脈瘤といって血管の壁が裂けていってしまう病気(若い人に多い)では頭痛や頚部痛の後に、裂けた壁が血管を詰まらせて脳梗塞になることがありますが、ほとんどの脳梗塞は、頭痛はなく、麻痺や感覚異常、視野異常などの神経症状が主となるのです。外来で、「脳の血管が詰まった感じがする」とおっしゃって来院する患者様がいますが、その中で実際に脳梗塞だった人を私は知りません。
以上、怖い頭痛に当てはまる場合、急いで病院にかかってください。そうでない場合、TVに騙されずひとまず冷静になってから外来へどうぞ。

当院では、頭痛の原因検索に力を入れています。

ご心配の方は、受診して下さい。

担当医

梅川 淳一 (うめかわ じゅんいち)

関東病院院長

神経内科・リハビリ科・総合診療科

脳神経外科専門医

アロマセラピーアドバイザー

日本アーユルヴェーダ専門コース修了

外来表

脳神経・
認知症
外来
午前梅川梅川
午後梅川